「太陽の家」ハレアカラ

ハレアカラとはハワイ語で「太陽の家」という意味。この世界最大の休火山に昇る太陽と、朝日を浴びてこの世のものとは思えない色彩を放つクレーターの景観は、まるで名画を眺めているような感動をわれわれに与えてくれる。
葉を失う噴火口の景観
標高3000mに位置するハレアカラ噴火口は、
円周33、8km 東西12km 南北4km 火口壁の高さ200m 河口の深さ910m面積は49.2km。NYのマンハッタンがすっぽりと入っ
どんな賛辞の表現も当てはまらない。火口の底には大小の11個の火口丘がうねりながら続き、その果ては雲海の彼方に没していく。遙か遠くにハワイ島のマウナ・ケア、マウナ・ロア山が雲の上にポッカリと浮かんでいる。なだらかな、しかし複雑に入り組んだククレータのスロープは、 太陽の光の加減によっ って刻々とその微妙な色合いを変化させていく…・。言葉を失ってしまう大自然の迫力。この火口内では、スタンリー・キューブリックの名作2001年宇宙の旅の一部が撮影され、また宇宙飛行士の月面着陸訓練にも使われたという。そんな話も心から納得できる、現実離れした臨場感があるのだ。

太陽の家への登山ドライブ

ハレアカラへは、さまざまなツアーバスが出ているが(別項参照)、レンタカーを借りて頂上までドライブすると、巨大な火山の全貌が楽しめる。富士山でいえば7合目か8合目にあたる標高までの運転は大変そうだが、道路は道幅も広く、よく整備されている。スピードさえ気を付けていれば初心者でも大丈夫。ドライブでの注意事項は、1.ガソリンは満タンにしておくこと。2.運転中は常にラジエターのチェックを。頂上付近は暖房が必要なほどだし、行きはずっと登りっぱなしなので、あまりゆっくり走っているとオーバーヒートのおそれがある。3.下りはエンジン・ブレーキを多用する。オートマチック車ならセカンド・ギアで充分。4.標高7,000〜8,000フィートのあたりは霧が発生しやすい。ヘッドライトのスイ イッチの位置を確認、しておくこと。5.ドライバーはサングラスを必ず持っていくべき。時間と場所によっては正面から・日の光を浴びることになりがち。また、ドライブに限らず、山頂には午前中の のうちに到着するようにスケジュールを組みたい。山の天気はコロコロ変わる。比較的展望が良いのはとくに夏場、しかも午前10時ごろまでだ。冬場は曇ったり、霧が出たりで、何も見えないなんてこともある。せっかくの美しい景色を見逃す手はない。出発前に山頂の天気予報を聞いておくのもグッドアイデアだ(ハレアカラ山頂天気予報 572-7749、7:30-16:00)。カアナパリから山頂までは約65マイル(約104km)、キヘイからは約47マイル(約75km)。そのうち険しい登り道はだいたい25マイル、ゆっくり走っても約1時間半というところ。早朝なら交通渋滞もあまりないし、後はガソリンを入れたり、スナックを買う時間を考えて、出発時刻を逆算すればいい。


登山道までの走り方

カフルイの町を過ぎたら36号線ハナ・ハイウェイを経由して、37号線ハレアカラ・ハイウェイヘ。砂糖キビ畑やユーカリの並木を通過しながら山頂をめざす。37号線に入って約7マイル走るとプカラニPukalaniの町に着く。ここが最後の給油地なので、ガソリンの点検を忘れずに。道の左右にガソリンスタンドがある。プカラニを過ぎるとすぐ、ルート37の支線3"号線とのジャンクションがあり、これを左折。いよいよ登り道になる。左右には牧場が広がり、昼間なら木陰でのんびり草を食む牛の姿を目にする。377号線の最初の2マイルほどは、かなりのワインディンクロードなので、運転には充分気を付けたい。まだまだ序の口だ。ルート377を約6マイル、のどかな牧場地帯を過ぎ、右手にカフルイのコースト・ラインが見えてきたら左折の準備を。右手にクラ・ロッジKula Lodgeという小さな宿がありいい目印になる。ハレアカラヘの登山道378号線とのジャンクションは、クラ・ロッジから約O.8マイルだ。


つづら下界を見下ろす九十九折りドライブ

378号線に左折するとすぐ左手に、サンライズ・マーケットSunriseMarketという小さなお店がある。この先には売店がないので、ここで食料を仕入れていくといい。いよいよ制限速度30マイル、カーブでは15マイルに規制されたワインディンクロードの始まりだ。この時点で、標高はすでに3,000フィートを越えている。道路脇にはその地点の標高を記した看板が立っていて、今どの辺を走っているかの目安になる。頂上がだいたい1万フィートだから、4,000フィートなら4合目、5,000フィートならほぼ半分登ってきたことになる。標高が上がるにつれて、下界の景色がだんだん広がっていくのも登山ドライブの醍醐味。4,500フイ イートでは南西の方向にモロキ二島とカホオラウエ島が見えてくる。5,000フィートまで来ると、カフルイ港とマアラエア港が同時に見渡せるポイントも。ドライバーは景色が見られなくて残念だろうが、もうひといきの辛抱。6,000フィート地点左手に停車できる展望台がある。登り始めてちょうど10マイル。7,000フィート手前に国立公園の入口があり、このゲートで入園料$3を支払う。山頂の天候を尋ねると「今日は最高の天気。頂上まであと11マイル」とおねえさんが教えてくれる。

見逃せない珍植物、銀剣草

ゲートを過ぎ、1マイルほど走ると右手に国立公園管理事務所ParkHeadquartersがある。ここではハレアカラの地図やインフォメーションを手に入れることができ、トイレもある。用を足すならこちらで。また、ハイキング・コース、バード・ウォッチング、クレーター内のキャビンやキャンプについての の情報も得られる。事務所を後にすると、あたりの様子は一変。ここまでは比較的緑豊かだったのが、潅木混じりの野原となり、気温もガクンと下がる。また、たとえ頂上が青れていても、この先標高8,000フィートあたりまでは、霧が発生しやすい地点だ。慎重に運転してほしい。標高9,000フィートを越えた左手にはカラハク展望台KalahakuOverlookがあり、往路でも復路でもいいからぜひ立ち寄ってほしい。景色が素晴らしいことももちろんだが、この地域ではハレアカラ名物の銀剣草Silverswordを見ることができるからだ。銀剣草は、銀色の葉が剣のように輝き、ヤマアラシのように鋭い葉先を外側に向けている珍しい植物。6月から10月にかけて、高さ2mもの茎のまわりに、鮮やかな紫と黄色の小さな花がびっしりと咲く。標高6,000-12,000フィートの地域でしか生息できない脆弱な植物だ。一時絶滅しかけたが、現在は国立公園のレンジャーたちの手で保護されている。

1万フィートの極みにも住人がいる

カラハク展望台まで来れば、頂上はすぐそこだ。ハレアカラの最高地点は標高10,023フィートのレッド・ヒルRedHillという丘だがいちばん眺めのいいのは、その手前にある9,800フィート地点。火口内が一望できるポイントである。ここにはビジター・センターVisitor'Centerがあり、中には地質学、考古学、生物学の観点から見た公園についての説明が展示されている。また、毎日12:30からレンジャーによるレクチャーがある。ビジター・センターの反対側にはドーム型の建物やパラボラアンテナが見える。・これはサイエンス・シティーScienceCityという天文台。"NoLightPlease"の看板があり、人工的な光から離れたハレアカラ山頂で、天体観測を行っている。ハワイ大学、ミシガン大学、スミソニアン研究所、そしてアメリカ空軍などの研究グループが月、星、太陽の観測だけでなく、人工衛星やミサイル追跡ステーションの仕事もしているという話だが、詳細はいっさい秘密にされている。

ハレアカラヘのパスツアー

レンタカーのない人には、冷房付きの大型バスや小型のデラックス・コーチで行くツアーがある。ハレアカラヘのツアーを行っている会社は島内に十数社あり、料金、内容ともあまり変わりがない。ホテルのアクティビティ・デスクに相談すれば、信頼のおけるツアー会社を紹介してくれる。例としてポリネシアン・アドベンチャー・ツアーズ(PolynesianAdventureTours877-4242)のツアーを紹介しておこう。1日観光とサンライズ・ツアーがあり、前者はハレアカラ+クラ、ワイルク、イアオ渓谷を見物する。カアナパリやキヘイ、ワイレアのピックアップは朝の7時ごろ。もちろんそのほかの地域のホテルヘも送迎してくれる。リターンは夕方4時ごろ。1日たっぷり中央マウイを観光できる。大人$40、子供(12歳以下)$25。サンライズ・ツアーは神々しいハレアカラの日の出を見るツアー。ホテル・ピックアップはカアナパリで朝3時、キヘイ、ワイレアで4時(夏場はそれより30分早い)と、とんでもない時間だが、早起きして行く価値があるツアーだ。ホテルに帰るのは午前1時ごろだから、1日が有効に使える。モーニング・コーヒーのサービスもうれしい。なお、山頂はとても寒いので、暖かい服装で。大人$39、子供$22。そのほかのメジャーなツア「会社としては、アカマイ・ツアーズ(Akamai Tours 871-9551)、アロハ・ヌイ・ロア・ツアーズ(Aloha NuiLoa Tours 879-7004)、グレイライン・マウイ(Grayline Maui 877-5507)、トロピカル・エクスカージョンズ(TropicalExcursions877-7887)、ロバーツ・マウイ(Robert's Maui871-6226)、トランス・ハワイアン(Trans Hawaiian877-7308)などがある。また、値段は高いが、ヘリコプターで上空からハレアカラの全景を眺めるというツアーもある。たいていハレアカラとハナの町がセットになっていて、このふたつを車で訪れようとしたら、まる2日はかかるから、短時間で観光をすませてしまいたい人には便利。


ハレアカラ観光のヒント

サンライズ・ウォッチング

ハレアカラがいちばん美しいのは日の出の時間だ。朝5時半ともなればビジターセンター駐車場は車でいっぱい。夜明け前の山頂、常に風が吹いて、ひとときもじっとしていられないほど寒い。手持ちの衣類をすべて身にまとい、おまけにホテルから毛布を拝借してくるまっていよう。暖かいコーヒーがあればなおいい。やがて、満天の星空のもと、東の空がぼんやりと明るくなってくる。明かりを得て浮かびあがる雲海がピンクから淡い赤に染まり始まる、空が青さを取り戻し、彼方にラナイ島のシルエットが見える。そして一舜水平線を黄金色の帯が走り、万物の源、太陽が顔をのぞかせる。拍手と口笛がまき起こる感動の一瞬、その神々しさは作家マーク・トゥエインをして、「それは、今まで私がこの目で見た
中でいちばん崇高な眺めだった。そしてこの光景は、いつまでも私の記憶に残るだろう」といわしめたほどだ。季節によって5時40分から6時半ごろに日が昇るので、遅くとも朝3時半にはホテルを出なければならない。早起きするのは眠くてつらいし、明かりのない登り道を運転するのは確かにたいへん。それでもドラマチックな大自然のぺージェントは、一見の価値がある。根性だして、ぜひ体験してほしい。また、車の運転に自信のない人は、各ツアー会社がサンライズ・ツアーを行っている。

◎パイク・ダウンヒル

ハレアカラのアクティビティとして最近人気を集めているのが、ハレアカラ・ダウンヒル・ツアー。これは、自転車に乗ってハレアカラ山頂から麓まで、約38マイル(約60km)
を一気に駆け降りるという爽快なツアーだ。もちろん自転車は頂上まで運んでくれる。ただただ楽な下り坂をひたすら走るサイクリングだから、誰でもできる手軽な遊びといえる。自転車は、車輪に特製の強力ブレーキを備え付け、低圧で丈夫なタイヤを使ったマウンテン・バイク。ヘルメットや防寒用ウインドブレーカー、手袋も貸してくれる。列の前後に誘導員が付き添い、事故のないようにトランシーバーで連絡を取り合ってくれるので、安全性も信頼できる。ハレアカラ・ハイウェイにはガードレールなどないから、急カーブの手前で充分スピードを落とすことだけ気を付けていれば、あとは何も難しいことはない。草原や牧場、西マウイの雄大な眺めを楽しみながらのサイクリングは、最高にすがすがしい。現在このツアーを行っているのは3社。内容はだいたい同じで、ホテルヘの送迎、朝・昼の2食が付いて$85-90。朝8時ごろ山頂に着くモーニング・ツアーと、日の出も拝める一石二鳥のサンライズ・ツアーがある。詳しい問い合わせ、予約はホテルのアクティビティ・デスクか、直接マウイ・マウンテン・クルーサーズ(Maui Mountain Cruisers tel 572-0195)、マウイ・ダウンヒル(Maui Downhill 871-2155)、クルーザー・ボブズ・オリジナル・ハレアカラ・ダウンヒル(Cruiser Bob's Original Haleakala Downhill 667-7717)まで。

◎ホースバック・ライディング

ハレアカラ観光のきわめつけは、火口内を馬に乗って見物するホースバック・ライディング・ツアー。馬の背に乗って揺られていると「)月のお-、砂漠をお-、はあ-るう-ばるとお-」なんて歌が出てきそうだ。ポニー・エキスプレス(Pony Express 667-2200)が主催しており、インストラクターがハレアカラの植物、地質、伝説などを説明しながら案内してくれる。初心者でもOKとのことだ。約4時間、7.5マイルの半日ツアーでひとり$90、約8時間、12マイルの1日がかりのツアーは$120。いずれもランチが付付く。ホテルヘの送迎はないので、朝9時半までにビジターセンターに集合する。長ズボン、ジャケット、運動靴などを持参すること。また、麓のハレアカラ牧場ではショート・ライドのツア-もある。こちらは1時間$20(9:00から)、2時間$40(10:30と13:30から)。一度も馬に乗ったことのない人にお薦めだ。問い合わせ、予約は直接ボニー・エキスプレスヘ。

◎ハイキング

展望台からの景色も確かに素晴らしいが、火口内を自分の足で歩いてみると、ハレアカラの自然美がより実感できる。合計36マイルに及ぶトレイルがあり、初心者向けのショート・ハイクから、ベテラン向きの2日がかりのトレッキングまで、いろいろなコースを選ぶことができる。一度ハレアカラ・ハイキングを体験すると、「ハレアカラHaleakalaを歩く.とハレルヤHallelujahと叫びたくなる」というマウイのハイカーたちのジョークが理解できるはずだ。
6-8月の夏の時期には国立公園のレンジャーがガイドをしてくれる1.5マイルのツアーが毎日ある(無料)。ハイク・コースなどについては公園管理事務所で詳しく教えてくれる。アウトドア派にはハレアカラでのキャンプはいかがだろう。公園内には2ヵ所のキャンプ場があり、トイレや飲み水も用意されている。もちろん公園管理事務所の許可がいるが予約はできない。キャンプする日に公園管理事務所に申し込むこと。つまり早いもの勝ち.事務所は7:30-16:00の間オープンしている。また、クレーター内には12未収容のキャビンが3棟あり、宿泊することもできる。飲み水薪、ストーブ、キッチンが付いているが寝袋は持参したほうがいい。ひとり$1&ただし、3ヵ月前までに手紙で予約しなければならない。公園管理事務所の住所はHaleakala National Park Headquar-ters,P.0.Box369,Makawao, HI967681 572-9306、572-7749。