前回まで、波の屈折、変形等、専門的なことを述べた。
今回より、基本事項の波の観測と予報について述べる


波浪の観測  
1、外洋波浪の観測波浪の観測には、器械観測と目視観測があるが、WSFにおける観測なので目視観測について説明する。観測は風浪とうねりに分けて行なう。2方向以上からのうねりが共存する場合、そのおのおのについて行なう。

観測要素は、波向、周期、波高の3種である。波向波のやってくる方向だ。正確を期するために、磁石等を用いる。この場合、船から離れた場所の波列の向きを決める。近い所は船との相対運動を見るからだ。沖合いでは風浪の向きは、ほぼ風向と一致するが、沿岸では波が屈折、回折などをし、風向と一致しない場合がある。

特にうねりは、
その割合が大きい。岸近くで沖合いの波向を観測するには、これらの影響の少ない波長の1/2より深い所の波に着目しなければならない。また風浪とうねりが重なり、両者の方向が判別しにくい場合、波の去る方向を見るとよい。また方向は、8方位でも十分である。周期これも少し離れた水面に着目する方がよい。この時、水面の泡等を目標にし、それが初めの波の上から、次の山までの時間を測る。この場合、10〜20波を観測し、その平均値をとるようにする。波高波高の目視観測には、相当の経験が必要だが、水面の目標物が得られれば、初心者でも可能だ。

WSFの場合は、自分の身長、
マスト長を利用するとよい。ただこの場合、マストが斜めになった時、過大に見積るので、注意してほしい。また波高も周期と同様に、10〜20波について観測して、その平均値をとる。なお、波高の単位は、目視観測の場合、0.5mでよい。これによって、実用になる有義波高が得られる。波高の階級波浪の目視観測は、今述べた3要素のほかに、風浪の観測は、今述べた3要素のほかに、風浪とうねりについて、表に示す階級で好測する方法がある。漁船などは、これを用いているので、WSFにおいてもこれをおすすめする。なお、この数字は、すべて有義波で示されている。
-Image-
表1気象庁風浪階級表(昭和38年1月1日改正施行)