一般レベルに
おけるフィン


我々はもっとフィンについて
知るべきなのだ。


フィンの持つ意味の大きさが一般のレベルにま で浸透し始めてから、まだ日が浅い。もちろん、 デザイナー、コンペティターレベルでは、はるか 以前からずっと追求してきているのは事実なのだ が、一般レベルでは、セイルやボードといった大 物に目が行きがちで、一見すると余り変化がない ように思われるフィンにまでその意識は届いてい なかったのだ。それが今現在は、ボードやセイル といったメインの道具、そして乗り手の技術の安 定もあって、中級レベルであっても、フィンにつ いて語ることもあり、良し悪しを判断できるよう になってきた。つまり、フィン自体は、ウインド サーフィンが生まれたその時点から、ウインドと 切り離せない存在ではあるのだが、最近になって やっと、フィンの歴史がフィンの歴史が始まった といっても過言ではない。 そもそもフィンの重要性は、スラロームボード の高定化に伴って語られるようになってきた。そ れ以前はというと、ウェイブ主体の世界であった がために、今ではやや異形と思われるようなモノ

  も多かった。リーディングエッジは後傾がきつく、 ボトムを細く、トップの面積を広く取ったタイプ や、反対に非常にトップの細いタイプなど、その 種は語りきれないほど存在していたのだ。しかも 当時は全工程が手作業で行なわれていたために、 フォイルもアウトラインにも、かなりアバウトの 出来上がりと言わざるを得ない。それが、スラロ ーム用のストレートタイプ、いわゆるブレードフ ィンが登場した頃から、マシンシェフという工程 を導入し始め縦に長い形状に対してのフォイルの 作りやすさから、緻密なフォイル計算がされるよ うになったのだ。幅と厚み、ピークの位置といっ たリーディングエッジからトレーリングエッジま でのフォイルにとどまらず、ボトムからトップ方 向へのフォイル、更に表面積、ツイストなども、 計算とテストによって積み上げられた多量のデー タを元に作られるまでに至った。もちろん、これ はスラローム用のフィンに限った話しではない。
コースレース用のロングボード、ウェイブボード のフィンも、同様に進化し、その運動の性格に合 うフィンが生み出されている。
フィンの持つ役割というのは、セイルが持って いる酷似している。もちろん、フィンがパワーを 生み出してボードを走らせるわけではないが、少 なくともその手伝いをしているのだ。フィンにつ いて語る際に、よく揚力と同じようなもので、フ ィンの場合には、ボードをリストアップさせるた めの力と、テイルを風上方向へ引っ張り上げる力 とがある。単にボードの横流れを防いでいるので
  はなく、フィンが生み出す揚力の全てがあらゆる 方向に効力を発揮してテイルを安定させ、ボード を速く走らせているのだ。そしてボードスピード は絶えず変化し続け、そしてターンという新たな 力に対する性能を要求されていく。そこに硬度、 ツイスト量、アウトラインといった要素が絡んで くるわけだが、その性能の全ては流体力学に基づ きつつ、体感データを加味して作り上げられてい くのだが、セイルに要求されている性能とほぼ同 等の要素が並んでいると言っていいだろう。 ここ2〜3前でフィンのタイプは計り知れない 種多くなった。同じようなアウトラインのモノで も材質やツイスト量、フォイルまでが異なり、そ れが全てのサイズ、異なるアウトラインに当ては まるのだからキリがない。しかし、おおまかなと ころでは、スラローム用のフィンタイプは2種。 ブレードタイプとドルフィンタイプだ。それぞれ のタイプを確定させるのは難しいが、トレーリン グエッジが、後傾しているかどうかで判断する。
先にも述べたように、フォイルはマシンの導入に よってほぼ安定してきている。これからの課題と なるのはリーディングエッジの角度と、ツイスト 量であろう。ボードのロッカー、ライダのパワー と技量、コンディションによって求められる性能 は異なってくる。それらが明確に表示できるデー タも集積されていくだろう。これからは以前より も更にフィンの重要性が認識され、ボード一本に 対して数枚のフィンを持ち合わせて行くようにな るに違いない。
    「Windsurf CLUB 1994/4より」

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