現在、市販されているスラロームボードには大
きく分けてプロダクションとカスタムの2つの製 造方法がある。 プロダクションというのは工場で同一形態のボ ードを大量に生産するもので、多くの場合、外形 を刻んだ上下の2つの型を合わせたものによって 成形される。一方カスタムは本来、注文に応じて 一本一本違ったものを作るものだが、近年は同形 状のカスタムもあって一概に一本一本がオリジナ ルな形を持たないケースもあってややこしい。こ のカスタムメイドは基本的に手遣りであり、ハン ドシェイプされたコア(芯材。主のフォームが作 られる)の上にガラスクロスやカーボンクロスを 樹脂によって積層していく。 プロダクションボードもクロスと樹脂を使う。 ただしこちらではそのクロスや樹脂を型の内側に 貼り重ねていく所が違う。最もモールドを使うボ ードの中にも型から抜いた後、手でレイルのバリ を落としたり、さらに積層して形状を調整するセ ミカスタムというカテゴリーがある。 素材的な面で見ると、近年はフォームのコアの 上に |
FRPで積層するものの他に、ハニカムプレー トを使う中空のものもある。このハニカムを使う
タイプも基本的にはモールドを使用する。 実状で言えばカスタムとプロダクションという カテゴリー分けは昔ほど意味を持たず、製法の違 いでモールドボードとラミネートボードと分けた
方がわかりやすいかもしれない。 ハニカムボードの他にもモールドボードにはい くつか種類がある。オールラウンドボードなどに 見られる製法はモールドボードの中でもシェルが いくつもの素材を組み合わせて形成さえていて、 かなりの強度を持っている。 モールドボードの中でもポリエチレンで作られ たウインドサーファーなどは他のボードと違い、 上下のシェルを組み合わせた中に、発泡フォーム を注入するという珍しい製法をとっている。この 他モールドボードはまずフォームを成形し、その フォームと型に内貼りされたシェルを組み合わせ ている。この間の接合が企業秘密の部分で、特殊 な接着樹脂を使用したり、圧力を調整したりと会 社独特なノウハウを持っているのだ。 |
バーレーヘッズのプロダクション モデルのモールドに内貼りしてい る所。これにフォームをはさみ、 ボードを成形する。 | モールドから外したばかりのボー ドにはこのようなバリが出ている。 このバリを落とし、さらにレイル を仕上げるの芯 |
ウェイブボードの多くはハンドメ イドのラミネート製法をとる。バ リエーションは作りやすいが、同 じものを作るには技術がいる。 |
ラミネートボードに使用されるフ ォーム群。ポリウレタン、スチレ ンフォームの発泡倍率を低くした ものが使われている。 |