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今回は波浪予報に必要な海上風の風向と吹送距離と吹送時間の決め方について説明しよう。

海上風と風浪の予報

◆海上風向の決め方海上における等圧線と風向のなす角度は表1のようになり、日本近海では平均すると18-20度だ。しかし台風や発達した低気圧内など、等圧線の曲率の大きいところでは、20〜30度になる。なお、北半球における風向は、低気圧性の場合には反時計回り、高気圧性の場合は時計回りである。また風向と等圧線との偏り方は、低気圧側に吹き込む形になる。

◆吹送距離と吹送時間の決め方吹送距離や吹送時間を決めるには、天気図上の等圧線の流れる方向や、前線および海岸線の位置等を参考にして、一様な風が吹いて
いると見なせる海域(風場と呼ぶ)をまず決める。風場は等圧線系とともに動き、変形している。連続した各天気図上のこの風場を見て、例えば図のA点が連続した天気図の風場にあれば、そこの平均した限界までの距離が吹送距離になるし、そのような状態の維持時間が吹送時間となる。

◆風浪の予報風浪の発達や衰弱は、風速、吹送距離、吹送時間の3要素によって決まる。前述したように、風浪は十分に発達するまでは、風速が大きいほど、吹送距離、吹送時間が長いほど、発達を続ける。だが、以上のどれかひとつの要素が限定
されると、発達の途中でも、ある量以上には発達しなくなり、やがて衰弱する。例えば風速15m/s、吹送距離200km、吹送時間口時間の場合は、波高"m、周期師秒の予想風浪が得られるが、風速と吹送時間は変わらなくても、吹送距離が150kmに減ると、予想波高は3.5m、周期は冊秒と小さくなる。このように3要素のうち、ひとつでも変化すると波高や周期もそれなりに変化する。

以上、波の3要素について述べたが、これは海洋上のことで、WSFにとって、もっとも大切な海岸付近になると、地形の影響が加わってくるので必ずしもこのよう にはならない。例えば御前略海岸、ここは太平洋側にあるため、南海上を通る発達した低気圧や台風の場合は、海岸に向っての南よりの風が強くなる。よって有効風の吹送距離が長くなるため非常に高い波になる。しかし天気図上の混んだ等圧線が 北から南へ走っているような冬の季節風の場合, 風は強くてもそんなに高い波は現われない。これは四国の土佐湾などでも同様で、紀伊水道や豊後水道に沿った海岸付近は嘘のように穏やかである。しかし御前崎海岸の場合、天気図上の混んだ等圧線が北西から南東へ 走っているような場合は別で、このような時は風は海岸線に沿った西よりの風になるため、吹送距離も長くなり、高い波になる。また風速はさほどでもないのに高い波が立つ例として、関東地方東岸の茨城、千葉の外房海岸付近がある。ここでは悪天をもたらす

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東気流が吹き始めると、この風は何日もつづくことがあるので、吹送も吹送距離も大変長くなり、風速の割合を上まわるような高い波がつづく。このようにここの海岸や湖岸付近についての気象や波の状況については、次号から説明する。