海上で困らないための役立ち気象学
風が吹いてできる波が、風浪!!
WSF波予報
今回は、風がないと、波もない。何故なんだろうか!? の、疑問に答えてしまう。で、今日の波はどうだろうかと海を見る。その観測はどのくらいの意味があるのかな。 の、知識も教えちゃう。サテ、賢いWSFERの出来上り。
風ひと吹き、
波ひと立ち。

海面を風が吹き渡ると、海面は 風のエネルギーの供給を受けて、 そこに波ができる。初めは細波の ような小さな波だが、風が強くな ったり、吹く時間が長くなると、 次第に発達して大きな波になる。
このように風によってできる波を 風浪という。風浪も大きなものに なると、高さが10m以上で波長が 200mといったとてつもなく大 きな波になることがある。外洋で は風が強くなればなるほど波は発 達するが、風の吹いている時間が 短いと、たいした波にはならない。→
  また内海のような狭い海面では、 いくら強い風が長時間味いても、 ある限度以上の波にはならない。
また外洋でも、それに面した海 岸付近では沖に向う風、つまり離 岸風がいくら強く吹いても波は発 達しない。反対に沖から海岸に向 って吹く風、これを両岸風という が、これが長時間続いて吹くと波 は発達する。このように波の発達 は、単に風速の強弱のみによって 決まるものではなく、同じ風の吹 き続く時間(吹続時間)と同じ様 な風が吹いている風上側の距離の 長さ(吹走距離)の2つが大いに関 係している。つまり、風浪の発達 は風速、吹走距離、吹続時間の3者 の組み合わせによって定まるのだ。

風浪の
発育法とは……


では、この3つが完全なものに なれば、風浪はいくらでも発達す るかとなると、なかなかそうはい かない。波高と波長の比を波形勾 配というが、これが1/7に近づ くと波形が険しくなる。つまり不 安定になって崩れ波になる。こう なると波の発達は止まる。
それを要約すると、風浪は風に よって与えられるエネルギーと、 内部摩擦や崩れ波などによって失→
 
うエネルギーが等しくなるまでは 発達するがそれ以上にはならない。 風から与えられるエネルギーと、 彼自体が消費するエネルギーとの 等しくなった状態の波を充分に発 達した風浪という。このように十 分に発達した風浪を形成するため には、無限大の吹送距離や吹続時 間は必要ではなく、風速によって ある、定の限界値をこえると、ほ ぼこの状態に達する。こうした限 界値を最小吹送距離および最小吹 送時間といっている。

目視観測の
平均と最大
最大

波浪を取扱う場合に有義波とい う言葉がよく用いられる。この有 義波というのは、複雑でしかも不 規則な波を、定の基準で処理する ために導入された、言葉である。

ある点を連続して通過する波を 観測したとき、高い方から観測し た波の数の1/3までをとり、こ れを平均した値を有義波という。 また高い方から1/3までを取る ので3分の1波高ともいっている。 有義波は船や海岸に人が立ち、 →
  目で波を観測した時観測する人 は比較的高い波に注目する傾向が あり、全部を平均した値より高い 値を観測する。目視観測とは有義 波の観測であるといっていい程で ある。波浪予報の開発は比較的新 しく、初めて実用に供されたのは 第二次大戦中の連合軍のノルマン ディ上陸作戦の時で、その時有義 波の概念を導入し成功したといわ れている。有義波の波高を1.0と した時、平均波高は0.63、最大波 高(10分の1波高)は1.27、100分の1波高は1.61、1,000分の1波高は1.93だ。

天気図による吹走距離の決定 最小吹走距離、最小吹続時間(P・N・J・法)
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FはA点およびB点における吹送距離
P.N.J法のPはPierson、NはNeumann,JはJamesで開発者の名前
   

風速,吹走距離、吹続時間から風浪を計算する図
 
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風速30ノット、吹正距離100海里、吹 続時間5時間の場合は、先ず縦軸の風 速値30ノットを横に平行移動して、横 軸の吹走距離値100海里からたてた垂 線との交点を求める。交点の値は,波 高3.3mで、周期7.3sec。 次に30ノットを先程と同じように移 動させて吹続時間5時間との交点を求 める。交点の値は,波高2.3mで周期5 .9sec。
得られた波高のうち低い方(この場合は2.3m、周期5.9secが求める有義 波高とその周期)は吹続時間が短いた め波の発達が吹送距離ではなく、吹続 時間に限定された
 



台風はいやだけど、ドデカイ波は憧れ

ウェイブ派にとって、波がなくては話にならない。が、
コースレーシング派にとっても波を読むことは大切。潮
の流れ、波を利用してより速く艇を進められたらいうこ.
となし。風と波とボードを調和させて、もっと楽しもう。

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じょ乱源の波周期と減衰距離からうねりの波高(うねりの波高と じょう乱源の波高との比)・周期および到達時間を求める図

波の呼び名は
周期で決まる


私たちがふつう海の波と言って いるのは、前景でも紹介したよう に風浪のことである。風浪は風波 ともいって、その付近を吹いてい る風によって発生し、次第に発達 する波のことである。
この風波が、風の吹いている海 域から抜け出していったものや、 風がおさまって波だけが残ってい るものを、サーフィンでお馴染み の「うねり」といって区別している。 波には波長、これは周期ともい うが、その波長の大小、または周 期の長短によっていろいろな呼び 名で波を区別している。
目安としては、山から山までの 周期が1秒以下を"さざ波"。4秒 程度までを"短い風波"。5〜12秒 を"発達した風波"。6〜20秒程度 を〃うねり"。1〜3分を〃サーフ・ ビート"(磯波の共鳴作用によって 起こる波)。10〜20分前後を"津 波"。12〜24時間を"潮汐汲"とい っている。→
  海鳴りが聞こえたら、海へ。

土用波とは、台風の暴風域で発 生した波長の長い波だけが遠い海 岸に打ち寄せる"うねり"である。 土用波の周期を15秒ぐらいで計算
すると、太平洋の深い海を超えて きた波長は350m程になる。こ の時の波の速度は毎時80km以上に もなり、高速道路を走る自動車の
スピードに匹敵する。 そこで、土用波は進行速度の遅 い台風よりずっと速く到達するこ とになる。「土用波は台風の先ぶ れ」とりう気象上の慣用句がある のもうなづける。
2,000kmも離れたマリアナ 群島やフィリピンの東方海上から はるばるやってくる台風のうねり は、太平洋に開いた海岸線に到達 すると海鳴りを生ずる。
海鳴りは、雷のようにゴーゴー、 ゴロゴロと腹の底に響くように聞 こえることもあるし、ドンドンと 大砲の音のように聞こえることも ある。また、強くドロドロと踊っ て鳴るという人もある。遠州灘の 海鳴りは、昔から遠州の七不思議 のひとつとして有名である。

"うねり"を
予測する。

風波の予報については前号で紹 介したが、一般にわたしたちが見 る波は、風波とうねりの組み合わ されたものである。そこで、今度 はうねりの予報について述べよう。 うねりの予報をするためには、 まずはじめに天気図上で、予報海 域に影響を及ぼすと考えられる台 風や発達した低気圧等の強風域を 作ると考えられるじょう乱域の有 無を調べる必要がある。次にその 強風域の風を計算する。そして前 号で紹介した手順にしたがって、 有義波の波高と周期を求める。
次はうねりの直接の予報である。 じょう乱域で求めた有義波の波高 と周期、その値から図によって計 算すれば、うねりの波高と周期、 それに到達時間の計算ができる。 まず、表の縦軸(波の周期値)を 押さえ、横軸に沿って平行移動し、 横軸(減衰距離)から伸びる垂線→
  との交点を求める。そしてこの点 におけるうねりの周期(短破線)・ うねりの到達時間(長破線)・波高 比(実線)などの曲斜線の目盛り を図表によって読みとる。
たとえば、じょう乱域6m、周 期12秒、減衰距離1,000海里と すれば、予報海域へのうねりの到 達時間は約40時間。うねりの間期 は約16秒、波高は6m×47=2. 8mが得られる。
さて、予報海域のうねりの波高 値2.8mが求められた。次は予 報海域の風波の波高、たとえば3 mを別に求めた。そうすると、予 報海域の波高は風波とうねりの波 高の合成値で、値は4.1mにな る。なお合成値は、各波高の二乗 値を求め、さらにその和の値を出 し、その平方根を計算すればよい。 今日の天気図を見て、しっかり と各地の波高を読みとる。それか ら海へ行くのが、正しいWSFER。