リグパーツの 方向性
ポジティブに走行性能を
追求し始めたブーム&ジョイント

リグ・パーツの中でブームとジョイントは、セ
イルの性能と直結したマストに比べると、今ひと
つ「走行性能」とは結びつかないパーツであった。
例えばブームはセイルを横方向に固定し、形状を
維持するのがメインの機能だったし、ジョイント
はダウンホールを固定し、リグをユニバーサルの
働きによってあらゆる方向に可倒させるという機能
が第一だったわけである。
そういうジョイントやブームに求められるのは
「頑丈さ」であり、「信頼性」であり、「使いやすさ」
だったわけだが、このところこれら2つの地味な
パーツにもだんだん重要性が認められるようにな
ってきた。
ジョイントの例て言うと、一昨年のウレタンラ
バーのスティック・ユニバーサルの登場が一般に
思われている以上にジョイントの重要性を知らし
めた。主にスラローム・コンペティターの間で重
宝されているこのユニバーサルは「横ズレ」が極
端に少ないのである。
従来のラバーのユニバーサルは実は走行中に前
方向にわずかながら「横ズレ」することが知られ
ている。アベレージセイラーにとってはこのズレ
がセイルの突発的なパワー・オンを吸収するサス
ペンションとなるのだが、力のあるコンペティタ
ーのとってはこれでは瞬間の加速のきっかけが取
りにくいということがある。ウレタンラバーのユ
ニバーサルはよりリジッドなセイルパワー伝達を
するというのである。
ブームに関しても同じような傾向がある。レー
スボードなどに使われるロングブーム(240cm以
上の物)はある程度たわむことで、パンピングを
より有効に機能させていたが、スラロームコンペ
の世界ではたわみの少ないブームが求められる。
形状に関してもかつてはセイルカーブに合わせた
曲線が第一とされていたが、ブームを引くセイラ
ーのフォームによって作られている。具体的に言
えばブーム前半のワイデストポイントがセイルカ
ーブより前に来て、ブームエンドに向けて絞り込
まれる角度がややきつめになってきているのであ
る。
もちろんこれらはトップコンペティターのレベ
ルでの傾向であって、このコンセプトがそのまま
我々に応用できるかどうかはまだ不明だ。しかし
ギアの開発目標がだんだんとそれを使うセイラー
に向いていることは確かな動きだと思われる。

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セイルカーブとブームカーブは必
ずしも一致しなくなっている。こ
の形はセイリングフォームからの
要求でこうなった。
ウレタンラバーのジョイントはノ
ーマルラバー、メカニカルに次ぐ
第3のユニバーサルとしての地位
を確立した。



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ウレタンのユニバーサルのメリッ
トは横ズレしないことである。が、
当時にレスポンスが良すぎるとい
う欠点もある。

「Windsurf CLUB 1994/4より」