-Image-
スクーリング メソッドの 現状と展望 日本のウインドサーフィン核
はショートボードの プレーニングだが……

ウインドサーフィンを普及するための機関とし てスクールが存在しているわけだが、遥か以前、 ウインドサーフィンが日本に入ってきた頃には、 僅か2、3日程度のレッスンしか行えない様な、 要するにごく基本的なメソッドしか存在せず、し かも理論的に裏打ちされたものというよりも、む しろ体感フィーリングを伝達するための内容であ った。もちろん当時の先駆者であったトップイン ストラクター達はより良いレッスン方法、理論的 解析を目指し、日々向上していったことは言うま でもない。
日本に"スクール"というものが生まれて、お およそ20年になる。前述したように当初と現在と ではそのスクールの規模、メソッドの質などは想 像もつかないほどの進歩を遂げた。かつて7〜8 m/s程度の中風域を乗りこなせるようになるまでに 少なくとも1年から1年半はかかっていたものが、 現在では僅か2-3ヵ月程度で済むようにすらな っている。スクーリング・メソッドの進歩、イク イップメントの進歩がもたらしたものであり、ウ
インドサーフィンは難しいもの、という概念を徐 々に崩しつつあると思われる。 初心者、初級着用のメソッ
  ドは、現在ではほぼ 確立したと言える。セイリング理論にしても、運 動生理学的に見てもこれ以上のものは無いだろう。
今現在問われることは、インストラクターの役割 であり、指導にあたる者がどの程度それら理論的 な要素を熟知しているか、更にそれらを噛み砕い て伝達していけるかが、人々の上達度合いに大い に関わってくることになる。もちろん一個人だけ にその全ての負担がのしかかるわけではない。イ ンストラクターの活躍の場であるスクール自体の 体制、基本理念が大きな要素を持っていることは 言うまでもないだろう。づまり、指導体制全般が、 現状に甘んじることなくより良いレッスンの場を 作り上げていこうとすることが大切なのだ。
日本のウインドサーフィンの核となっているも のは"ショートボードでの"プレーニング"だ。 セイリング・イクイップメントが確実な進歩を遂 げてきたために、誰にでも容易にその世界にまで 入り込める。しかし、そこに入り込んでから先が 容易に進んでいかない。つまり、プレーニング以 後のメソッドがまだ確率していないのだ。微風域 であれ
   
ば、歴史の古いヨットの理論やメソッドを 取り入れることもできるが、センターボードが姿 を消し、風速が高くなればなるほど、応用はする にしても当てはめていくことが難しくなってくる のだ。全国各地のインストラクター達は今それぞ れの固有の工夫によってウォータースタートやレ イルジャイブのレッスンを行っているはずだし、 道具をどの様に操作して、どの様に身体を動かせ ばいいかは解っている。しかし、トレーニングメ ニューとしてのバリエーションがまたまた不足し ているのだ。コンディションの変化、道具の質の 差などによって生まれてくる方法論の差異に対し ての対応バリエーションが数少ないのだ。おそら く全国各地のメソッドが統合されれば、コマは出 揃うだろう。しかし、現在は全国レベルでのスク ールの統合は成されていない。つまり、個別に有
効なメソッドを所持していても、それが行き渡っ ていないために、存在価値を失っているのだ。
今後はスクーリングの重要さが再認識され、全 国規模でのメソッドの
統合が必要になってくる。 またそれと同時に、インストラクターの質が特に 重要視されていくことになるだろう。レッスンを 受ける側のニーズは確実に増加傾向にある。的確 に素早い上達を得られ、ウインドサーフィンの面 白さを認識し、面白さの中に入り込んでいくため には絶対的に良いレッスンが必要なのだ。そのた めにはより良いメソッドの導入と、スクーリング 体制の確率、そして、質の良いインストラクター 連の活躍が必要なのだ。
中級者までは誰でもすぐに到達できる。ここま でメソッドができ上がってきたことは素晴らしい ことだ。そこから先、上級者への道しるべを早く 探しだし、より多くの方法論を持ってウインドサ ーフィンの上達を促せる様になるのに、さほど時 間は掛からないであろう。全国の有能なインスト ラクター達は、より多くの人にウインドサーフィ ンを楽しんでもらうために、より一層の進歩を目 指さなければならないのだ。スクーリング・メソ ッドに限界は無い。常に向上心を持って取り組ん でいく姿勢が、ウインドサーフィンの世界を大き く変えていくことになるだろう。