スラローム ボードアウト ライン
ワイドノーズから
ノーノーズの流れは
ボードの極細化を生んだ


1992年から1993年にかけてボード界で最大の トピックスと言えばスラロームボードのノーノー ズ化だろう。そもそもこのトレンドはもとを正せ ば1980年代のサーフボードが二一ドルノーズ化
したことに始まる。ウインドではそれから10年以 上の月日がたって、まずウェイブポードが試験的 にニードルデサインを採り入れた。そして1990 年、ジェイソン・ポラコウがこのニードルボード
を1つのトレンドとして決定づけて、ウェイブボ ードはニードルデサインが時代を席巻した。 御存知の通り、スラロームボード、それもコー スレーシング用の板でニードルノーズの板を実用 化したのはビヨン・ダニカベックである。それ以 前にフランスのワールドカッパー、パトリス・ベ ルベオックがこのデザインを先駆的に試している のだが、シングルを走ったかと思えば30位以下に 落ちたりと、コンディションによって成績が大き く変動して、とてもリスキーなものだったという。
 

ビヨン・ダニカベックはそのリスキーをより抵 抗の少ない新型セイルによって克服した。そのセ イルのコンセプトは他のセイルにも大きな影響を 与えた。ビヨンの乗ったボードは「エッグボード」 と呼ばれたが、他のセイラーはビヨンのものほど 極端にワイドポイントが下がっていない(ワイデ ストがほぼボードの中央にある)デザインを試し 始めていた。そしてこれらのニューデザインは総 称して「ノーノーズボード」と呼ばれるに至った のである。
ノーノーズボードの中でも、今までと同じ細い テイルを持ったタイプがある。このタイプのアウ トラインは必然的に最大幅の数値が今までのボー ドよりも小さくなるのが特徴だ。言わば「ナロー ボード」とでも呼ぶべきものなのだが、従来では スピードボードでしか見られなかった幅51cmの ボードなども登場している。テイルが細いために ターンも比較的安定し、エッグボードほどのリス キーさもないとう。
ボードは原理的に言うと細いと転覆する力が強 く働くようになる。特にエッジがシャープすぎる とこの傾向が強いため、レイルはワイドノーズの ものより丸められるケースが多い。このアウトラ インがどのようなメリットを持つのか、その解明 は今年の課題となるだろう。

「Windsurf CLUB 1994/4より」


-Image- ワイドノーズの典型的なアウトラ イン。88年から使われている安定 した性格のアウトラインだ。 -Image- いわゆるエッグボードのアウトラ イン。ワイデストはテイルから約 40%の所にある。 ノーノーズの中でもテイルが細い アウトライン。ワイドとエッグの 中間的な形状である。
 
   





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3種のアウトラインを比べてみると、「ナローボード」の細さ
がわかる。一般にはターンがオーソドックスで走りもいいと
されるが……。

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