水と空気はタダみたいなもの、という認識が昔 はあったが、今は少々事情が違うようだ。きれい
な水は緑豊かな山と人の手の手の入らない川のタ マモノだし、空気だって機械を使えばすぐに人の 手による物質が紛れ込んでいるのがわかるくらい である。巡る因果ではないが、我々はサーキュレ
ーションの中で生きている。 ウインドも10年以上も前には海は今よりずっと 広かった。ウインドに乗る人間は海の異端者であ り、少類派だったから海辺の住宅街にクルマを止 めっ放しにしたり、沖に浮いてる漁網にからまっ たりしない限りはだいたいが大目に見てくれた。 そのころ海と風はタダだと思った人も思いのでは ないだろうか?確かに実際海にウインドをしに行 くのに、かかるお金はガソリン代に高速代、それ に駐車場代くらいなものだ。でも実際使うのはそ れだけでいいだろうか? 一部のビーチで少し前に、漁協がウインドサー フィンをする人間に対して出航料をとろうという 話があった。結局は立ち消えにな |
ったが、ここで 我々はホッとするばかりではなく、なぜそんな話 が持ち上がったかを考えなくてはいけない。
海は我々だけのものではない。そこで生計を立 てている人もいるわけだし、他にも海へ遊びに来 る人はいる。残念ながらアメリカのようにビーチ パークという理念のない日本では、セイラーは海
で「遊ばせてもらう」形をとらざるをえない。そ のためにはセイラー同志がある程度結束してモラ ルを中心としたルール作りができればいいのだけ ど、風を求めて西東というスタイルではホームビー チという概念すら成立しにくいのがこのスポーツ の残念な所だ。 要はほんのわずかな心遣いの問題なのだと思う。 海はタダではない。金を払えばいいというもので もないだろう。どうせつかうなら金よりちょっと した気をつかった方がいい。10年経って「最近の 若いセイラーは……」と言う前に、ウインド乗りとしての自覚を持とうじゃないか。 |